@nqounetです。
「AIにブログ記事を書いてもらいたいけど、どうすれば質の高い記事が生成されるんだろう?」
この記事では、GitHub Copilotのコーディングエージェントを使って、ブログ記事生成用の設定ファイル「AGENTS.md」を作成した体験をお伝えします。AIに良い仕事をしてもらうためのプロンプトの書き方や、信頼性の高い記事を生成するための工夫について、具体的な事例とともに解説します。
ウェブで学ぶプログラミングの落とし穴
プログラミングをウェブで学ぶのは、想像以上に大変です。
多くの初心者〜中級エンジニアがブログ記事を頼りに学習していますが、そこには大きな落とし穴があります。私自身、仕事でRubyを使い始めたとき、検索でいろいろな記事を読みましたが、結局は公式ドキュメントに戻りました。
なぜそうなったのでしょうか?
個人ブログの限界
振り返ってみると、ブログ記事が 浅いところしか書いていなかった からだと思います。
- 基本的な使い方は書いてあるが、なぜそう動くのかの説明がない
- エラーが起きたときの対処法が不十分
- 書かれた当時の情報が古くなっていることがある
- 出典が明記されていないので、情報の正確性が確認できない
これは個人ブログを批判しているわけではありません。むしろ、私自身がブログを書く際に同じ轍を踏まないようにしたいという思いがあります。
公式ドキュメントの価値
結局のところ、一次情報(公式ドキュメントや仕様書)に当たるのが一番確実 です。
とはいえ、公式ドキュメントは初心者には読みにくいことも事実。だからこそ、ブログ記事には「公式ドキュメントの内容をわかりやすく噛み砕いて伝える」という役割があると考えています。
AGENTS.mdとは何か
AGENTS.md(エージェンツ・エムディー)は、GitHub Copilotのコーディングエージェントに対して どのように振る舞ってほしいかを定義する設定ファイル です。
このファイルをリポジトリのルートに配置することで、Copilotがコードを生成したり、タスクを実行したりする際の振る舞いをカスタマイズできます。
GitHub Copilotコーディングエージェントとは
GitHub Copilotコーディングエージェントは、2025年5月に一般提供(GA)された機能です。従来のコード補完とは異なり、自律的にタスクを実行し、ファイルの作成や編集、プルリクエストの作成まで行えます(GitHub Blog - GitHub Copilot coding agent generally available)。
AGENTS.mdを使うことで、このエージェントの動作を細かく制御できるのです。
最高のAGENTS.mdを作るためのプロンプト
今回、私はCopilotコーディングエージェントに対して、以下のようなプロンプトを使ってAGENTS.mdを作成してもらいました。
実際に使用したプロンプト
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プロンプト設計のポイント
このプロンプトには、いくつかの工夫があります。
1. 役割を明確に定義する
冒頭で「AGENTS.md 設計の専門家」という役割を与えています。AIに専門家としての視点を持たせることで、より質の高い出力が期待できます。
2. 目的とコンテキストを伝える
「プログラミングに関するブログ記事を作成する」という目的を明示しています。何のためのAGENTS.mdなのかをAIに理解させることで、適切な内容が生成されやすくなります。
3. 具体的な仕様を列挙する
曖昧な指示ではなく、具体的な仕様を箇条書きで列挙しています。
- 対象読者
- 専門用語の扱い方
- トーン
- 出典の扱い方
- 禁止事項
このように詳細を指定することで、期待する出力に近づけることができます。
4. 出力形式を指定する
「説明文なしで、完成した AGENTS.md のみを Markdown で出力してください」と指定しています。余計な説明を省くことで、すぐに使える成果物を得られます。
生成されたAGENTS.mdの中身
Copilotが生成したAGENTS.mdは、約270行の充実した内容になりました。主な構成要素を紹介します。
役割と対象読者の定義
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エージェントに明確な役割を与えることで、一貫した振る舞いが期待できます。
出典・根拠の取り扱いルール
特に印象的だったのが、情報源の優先順位を明確に定義している点です。
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これは、私がプロンプトで指定した「信頼性が低い情報源は引用しない」という要件を、より具体的なルールに落とし込んでくれています。
品質チェックリスト
生成されたAGENTS.mdには、記事完成前に確認すべき11項目のチェックリストが含まれていました。
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このチェックリストがあることで、記事の品質を一定以上に保つことができます。
実際のプルリクエスト
今回の作業は、プルリクエストとして管理されました。
- プルリクエスト: PR#1 - Add AGENTS.md for programming blog article generation
- Copilotセッション: copilot/tasks
Copilotコーディングエージェントは、プルリクエストの説明文も自動で生成してくれます。生成された説明文には、AGENTS.mdの主要なセクションが箇条書きで整理されており、レビュアーが内容を把握しやすくなっていました。
この体験から学んだこと
1. AIへの指示は具体的に
「良い記事を書いて」のような曖昧な指示ではなく、具体的な仕様を列挙することが重要です。
2. 禁止事項を明示する
やってほしいことだけでなく、やってほしくないこと(禁止事項)を明示することで、意図しない出力を防げます。
3. 出力形式を指定する
「説明文なしで」「Markdown形式で」のように出力形式を指定することで、すぐに使える成果物を得られます。
4. 信頼性を担保する仕組みを組み込む
AIが生成する記事の信頼性を担保するために、「一次情報を優先」「個人ブログは引用禁止」といったルールを組み込むことが有効です。
まとめ
この記事では、GitHub Copilotコーディングエージェントを使ってAGENTS.mdを作成した体験をお伝えしました。
ポイントの整理:
- ウェブでプログラミングを学ぶ際は、公式ドキュメントなどの一次情報が重要
- AGENTS.mdはCopilotコーディングエージェントの振る舞いを定義する設定ファイル
- 良いプロンプトの要素:役割の定義、目的の明示、具体的な仕様、出力形式の指定
- 信頼性を担保するルールを組み込むことで、質の高い記事生成が可能に
今回作成したAGENTS.mdを使って、これからも信頼性の高いブログ記事を作成していきたいと思います。AIを活用しつつも、最終的な責任は人間が持つ。その姿勢を忘れずに、価値ある情報を発信していきます。